
ブレないための活動の指南書【コンセプトの作り方】
あなたの「想い」を「伝わる一言」に変える
「誰に、何を、どんな価値として届けたいのか」
これを一言で伝えられたらいいなぁ~と思いませんか?
それが「コンセプト」です。活動の根幹となるコンセプト。活動の指南書です。
そんなコンセプトの作り方を習得するために、私自身、日本のトップクリエイター達の講座を受講してきました。切口は違えど、エッセンスは同じ。
そのエッセンスを手芸・ハンドメイドに落とし込み、手芸・ハンドメイド版「コンセプトの作り方」をお届けします。
そもそも「コンセプト」とは?
ミッション(使命)→コンセプト(方向性・考え方)→ビジョン(目指す未来)
活動の道しるべには、この3つの時間軸があります。
ミッション:「なぜこの活動をするのか」という根本的な目的や存在理由
コンセプト:「何をどんな風にどうするのか」という企画や事業の軸
ビジョン:「この活動を通じて将来どうなりたいか」という未来の姿
ご自身の活動、ブランドを伝える時、この3つの時間軸に沿って語ることで、単なる説明から「ストーリー」に変わり、聞き手の記憶に残るようになります。
たとえば「私は、ーという経験・想いから、ーな人に、ーという未来を届けたくて、ーな活動をしています。」というように。
なぜ「コンセプト」が必要なの?
コンセプトとはビジョンにたどり着くための道筋。5年後、10年後、理想の姿になっているために「今、わたしたちは、ーをしています」それがコンセプトです。
「なぜ、この作品を作っているのか」「なぜ、このレッスンを教えているのか」という「想い」を、お客さまに「響く言葉」にする大切なツールです。
コンセプト作りの第一歩は「ビジョン」から
まずは、講座、作品販売、投稿など全ての活動の核となる一貫した「ビジョン」を明確にします。
◉「未来の情景」を描きます。
下記の問いに答える形で「ビジョン」を書き出してみてください。どんな小さな言葉でも、断片的でも構いません。
あなたの手芸・ハンドメイド活動が、5年後、10年後、将来的に、どんな「未来」を創り出していたら最高だと思いますか?
- お客さまの暮らしやお気持ちが、どう変化していたら嬉しいですか?
- 手芸・ハンドメイド業界、あるいは社会全体に、どんな影響を与えていたら嬉しいですか?
- その未来は、どんな「情景」をしていますか?
伝わる「ビジョン」3つの要件
次に、力強く伝わる「ビジョン」にするための3つの要件にそって、書き換えていきます。
要件1:状況が明確であること(想像できるように)
◉ビジョンをより具体的にする
具体的にイメージできる言葉になっていること
曖昧な言葉や抽象的な表現(例:みんなを笑顔に、地球に優しい)は、一見聞こえは良いですが、具体的な行動には繋がりません。形容詞(例:美しい、嬉しい)は、具体的な名詞(例:星、バラ)に変換します。
- どんな「笑顔」ですか?
- どんな「幸せ」ですか?
- どんな「夢」ですか?
要件2:到達距離が適切であること(届きそうな距離)
◉ビジョンの「到達距離」を調整する
「頑張れば届くかもしれない」と思えるような、程よい距離感であること。
- 近すぎ:「すぐにできそう」では刺激がなく人も巻き込みにくい
- 遠すぎ:「無理」と感じさせてしまい諦めにつながる
- 適切な距離:「努力すれば何とかなりそう」という目標設定が、人をワクワクさせ、行動を促す
要件3:その情景が魅力的であること(誰かのメリットに)
◉ビジョンの「主語」を確認する
自分都合ではなく、そのビジョンに「私もそうだったら嬉しい」「社会が良くなりそう」と共感できる「社会的な魅力」があること。
主語が、 「私」や「私の作品」になっているなら、「お客さま」や「作品を受け取る人」が主語になるように変換します。
あなたの「発想」を「届く言葉」に変える
その「ビジョン」を、日々の活動に落とし込む具体的な「コンセプト」として言語化する方法、そして、それを作品、レッスン、そして発信すべてに宿らせるための実践的なステップを書いていきます。
あらためて、コンセプトとは?
コンセプトは、あなたの作品や活動の「核」であり、まさに「一行の設計図」です。この設計図が明確であればあるほど、あなたの活動はブレずに、より多くの人々の心を掴みます。
混同しがちな「コンセプト」と「テーマ」の違い
たとえば、夢のある物作りを「プリンセス感」とした場合、これはコンセプトではなく「テーマ」です。「プリンセス」だけでは、どのようなデザインで、どのような活動内容なのか、具体的な「設計図」にはならないからです。
一方、例としてよく挙がる」スターバックスの「コンセプト」は、<サードプレイス(Third place)>です。家庭でも職場でもない、第三の場所として、人々がくつろぎ、交流できる空間を提供することです。
この<サードプレイス>という「コンセプト」があるからこそ、スターバックスは、
- 家のようにくつろげるインテリア
- ストレスの高いオフィス街への出店
- 香りを邪魔しない提供スタイル
- フレンドリーでありながら踏み込みすぎない接客
- 店内で音が出にくい紙コップでの提供
接点の全てに一貫した設計がなされています。これが「一行の設計図」です。
コンセプトを言語化する3つのステップ
では、「ビジョン」(前編で描いた未来の情景)を、具体的な「コンセプト」へと落とし込むステップをご紹介します。
ステップ1:3つの「なぜ?」を深掘りする
まずは、「なぜそれをするのか」を定義することから始めます。
作品やレッスンについて、今一度「なぜ?」を繰り返して、その根源的な理由を探ります。
- なぜこの手芸・ハンドメイドなのか?(他のジャンルではなく)
- なぜこのデザイン・技法・素材なのか?(他の選択肢がある中で)
- なぜこのターゲット(お客様)なのか?(他にも多くの人がいる中で)
- なぜこのレッスン形式なのか?(他に教え方がある中で)
- なぜお客様と、この感情を共有したいのか?
- なぜ今、これをやるべきなのか?(時代の流れや社会のニーズと絡めて)
「なぜ」を繰り返すことで、活動の核となる思いが見えてきます。
ステップ2:コンセプト・4つのテンプレート
深掘りした「なぜ」や、前編で整理した「ビジョン」を元に、「コンセプト」を、4つのテンプレートに当てはめて、簡潔な言葉にしていきます。2つの単語の組み合わせになることが多いです。
A. 「AをBにする」
(A)を(B)に変える、変化や価値を提示
【例】
「ありふれた日常」を「心がときめく特別な時間」に
「単なる糸と針」を「自分を表現するお道具」に
B. メタファー(隠喩いんゆ)
(A)みたいな(B)既に認知度の高い例を引用して説明すること
【例】
Wikipedia「知のインフラ」
ほぼ日 「手紙のようなサービス」
C. リバース法(反転)
(A)の反対は(B)
【例】
「クラフトビール」マイナーな商品を、そこにしかない商品に
「ダーニング」繕いをデザインにしてしまう手芸
D. パラドックス(矛盾)
(A)なのに(B)矛盾しているふたつの掛け合わせ
【例】
星野リゾート「何もしない贅沢」
セブンプレミアム「安いのに美味しい」
ステップ3:簡潔で洗練された言葉にする
4つのテンプレートでコンセプトを書き出したら、最後に簡潔で無駄のない、かつ洗練された言葉に磨き上げます。活動の「背骨」となる言葉になります。
- 簡潔さ:短く、覚えやすいか?
- 具体性:情景が見えるか?
- 共感性:お客様の心を動かすか?
- 独自性: 自分の特徴はどこか?
- 一貫性: あなたのビジョンと合致しているか?
- 行動喚起: そのコンセプトから、作品やレッスンのアイデア、発信内容が自然に生まれるか?
グローバル企業のコンセプト10例
- Apple「Think Different」
- ユニクロ「LifeWear」
- LEGO「Only the best is good enough」
- Airbnb「Belong anywhere」
- パタゴニア「地球を一番の株主に」
- ムーミンの世界観「やさしさは強さ」
- 無印良品「これでいい」ではなく「これがいい」
- IKEA「Democratic Design」
- Nike「Just Do It」
- Disney「Where dreams come true」
コンセプトは「自分の物語」
ミッション(なぜ始まったのか)→ビジョン(次に何を目指すのか)→コンセプト(それを叶える最初の一歩)という時系列で考えると、活動はひとつの物語になります。
「なぜ、私がこの手芸・ハンドメイドをしているのか?」 「どんな未来を創りたいのか?」 「そのために、今、どんな作品やレッスンを提供するのか?」
この物語が明確であればあるほど、作品やレッスンは単なる「モノ」や「スキル」の提供を超え、お客様の心に触れる「体験」へと変わります。
コンセプトは、自分の活動を力強く動かすエンジンです。ぜひ、心から自分らしいと感じるコンセプトを見つけ、ファンやお客様に一貫した思いを分かりやすく届けて、唯一無二のブランドに。
